介護施設で働く上で気を付けなければいけないのが介護事故です。
ハッキリ言ってしまうと、介護の現場での事故は全員が気を付けていたとしても起こる時は起こりますし、例え10年以上のベテラン介護士であったとしても一瞬の油断で事故に繋がってしまうこともあります。
ベテランでさえも100%事故を防げないのですから、介護を始めたばかりの新人介護員はなおさら気を引き締めていないといけません。
今回は、介護現場の事故や気を付けておきたいポイントなどについてまとめてみました。
ホールで起こる事故
施設のホールと言うのは施設にもよりますが、比較的見渡しが良く、一度に大勢の利用者を見守りしやすい環境になっていると思います。
ですが、そこに落とし穴があるんです。
私は約10年間介護の仕事をしてきましたが、介護の仕事の中で一番難しいと感じる仕事は、オムツ交換でも移乗介助でもなく、「見守り」だと思います。
一度に大勢を見れると言っても、利用者の人数に対して職員の数があまりにも少ないと、利用者全体に気を配るなんてことは出来ません。
仮に職員の人数が足りていたとしても、コール対応やトイレ誘導などで職員がホールから離れてしまい、人数が減れば見守りの人員は減ってしまいますよね。
かといって利用者さん全体が見渡せる位置に介護員がいたって、今度は利用者さんとコミュニケーションが取れなくなってしまうなどの問題が発生しますし、ホールでの完璧な見守りって不可能に近いものがあります。
ホールでの事故は、そのほとんどが介護職員による見守り不足が原因で起こります。
ほんの一瞬利用者さんから目を離した隙に車いすから立ち上がり転倒したり、テーブルの上のティッシュ等の異物を口に入れていたりするので気が抜けません。
認知症の高齢者の方達と長く付き合っていると、ある程度の動きの予測が立てれるようにはなりますが、それでも予想外の動きをすることもあるので、ベテラン介護員であっても冷や汗をかく場面は多々あります。
しかも、ホールでの事故は「職員がすぐそばにいたのに何で事故が起こったんだ!」と、仮に見守りの人数が足りなくて目配りが行き届かなかったからだとしても上司からも家族からも強く攻め立てられることもあります。
見守りは、目で見て、音を聞いて、一人の利用者だけでなく常に広範囲に意識を集中し続けなければいけない高難易度の仕事です。
それなのに「君はまだ仕事始めたばかりだからホールの見守りしておいてね~」なんて新人一人にホールの見守りをまかせるような、見守りと言う仕事を軽視している施設もあるのが現状です。
移乗介助で起こる事故
移乗介助と言うのは介護の仕事の中でもメイン的な扱いの仕事になるかと思うのですが、ここで起こりやすい事故はやはり転倒や転落事故です。
転倒や転落は骨折などのリスクが非常に高く、骨折して入院したが為に認知症が進行してしまったなんて最悪のケースも起こり得ます。
移乗介助も経験を積めば事故を起こすリスクは段々と減っていきますが(自己流ではなく正しい介助法を学んだ場合に限ります)やはり介護を始めたての頃は慎重に慎重を重ねたほうが良いでしょう。
特に、新人の介護員は、自分一人では重くてちょっと移乗するのは厳しいと言った場合でも、忙しく動いている先輩に声をかけ辛く、無理な体勢で移乗したが為に一緒に転倒したり、転落させてしまうなどの事故を起こすことが多いです。
介護はコミュニケーションが大事な仕事で、一人で出来る仕事ではありません。
先輩達もそれをわかっているはずなので緊張したり、怖がったりせずに、一人で移乗が無理な場合は声をかけて手伝ってもらいましょう。
それから、ベテラン介護員が移乗介助で事故を起こす原因で多いのが、自分の技術に対する過信による場合が多いです。
「私は大丈夫」という考えは介護の仕事をする上では命取りだと思いますし、何年経っても初心を忘れてはいけません。
入浴介助で起こる事故
入浴と言うのは、始まりから終わりまでずっとハイリスクな状態が続くと思っても過言では無いです。
まず、浴室の床はお湯や水などで非常に滑りやすくなっています。
介護員が手引き歩行で浴室内を誘導したとしても、利用者が足を滑らせた時に100%無傷で助けれる保証はありません。
むしろ介護員が足を滑らせて利用者さんと一緒に転倒してしまう事もあります。
それから注意しなければいけないのがお湯の温度です。
私は全く理解できないのですが、お湯の温度を確認しないままシャワーをかけたり、湯船に入れたりして利用者さんに火傷させる介護スタッフも実際にいます。
自分がお風呂に入るときも温度を確認しないのだろうかと不思議に思っちゃいますよね。
冬場はヒートショックにも気を付けなければいけません。
暖房の効いた暖かい部屋から、寒い浴室での熱いシャワーを急に浴びたりすると心臓に大きな負担をかけてしまいます。
そうすると血圧が一気に上がったり下がったりして、体に異変が起きます。
ヒートショックは脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞を起こす確率が高いだけでなく、場所が浴室のため、気絶だけでも滑って勢いよく固い床に頭を打つなど、大きなケガをする危険性も高いので、脱衣所や浴室の温度管理にはくれぐれも注意が必要です
最後に、入浴介助中に利用者から目を離してしまう事で転倒したり、最悪溺死してしまうと言う事故です。
このような事故が起こる原因で多いのが忘れ物です。
入浴介助に必要な物を忘れて介護スタッフがそれを取りに行き、その間に利用者さんが転倒したり、溺れていたりという事が多いです。
入浴介助中に利用者さんを一人きりにするなんて恐怖以外の何物でもありませんし、仮に利用者さんが忘れ物を取りに行ってもいいよと言ったとしてもその場を離れるのは絶対ダメです。
介護現場の事故と注意点まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では最後におさらいもかねてここまでの要点をまとめていきたいと思います。
- 介護の現場での事故は全員が気を付けていたとしても起こる時は起こりますし、例え10年以上のベテラン介護士であったとしても一瞬の油断で事故に繋がってしまう事もある
- ホールでの事故は、そのほとんどが介護員による見守り不足が原因で起こる
- 認知症の高齢者の方達と長く付き合っていると、ある程度の動きの予測が立てれるようにはなるが、それでも予想の外側の動きをすることもあるので、ベテラン介護員であっても冷や汗をかく場面は多々ある
- ホールでの事故は「職員がすぐそばにいたのに何で事故が起こったんだ!」と、仮に見守りの人数が足りなくて目配りが行き届かなかったからだとしても上司からも家族からも強く攻め立てられる事も多い
- 見守りは、目で見て、音を聞いて、一人の利用者だけでなく常に広範囲に意識を集中し続けなければいけない高難易度の仕事
- 新人一人にホールの見守りをまかせるような、見守りと言う仕事を軽視している施設も実際多い
- 新人の介護員は、自分一人では重くてちょっと移乗するのは厳しいと言った場合でも、忙しく動いている先輩に声をかけ辛く、無理な体勢で移乗したが為に一緒に転倒したり、転落させてしまうなどの事故を起こすことが多い。一人で移乗が無理な場合は声をかけて手伝ってもらう事が大事
- ベテラン介護員が移乗介助で事故を起こす原因で多いのが、自分の技術に対する過信による場合が多い。「私は大丈夫」という考えは介護の仕事をする上では命取りだし、何年経っても初心を忘れてはいけない
- 入浴と言うのは、始まりから終わりまでずっとハイリスクな状態が続くと思っても過言では無い
- 浴室の床はお湯や水などで非常に滑りやすくなっていて、介護員が手引き歩行で浴室内を誘導したとしても、利用者が足を滑らせた時に100%無傷で助けれる保証はないし、むしろ介護員が足を滑らせて利用者さんと一緒に転倒してしまう事もある
- お湯の温度を確認しないままシャワーをかけたり、湯船に入れたりして利用者さんに火傷させる介護員も実際にいる
- 冬場はヒートショックにも気を付けなければいけない
- 入浴介助に必要な物を忘れて介護員がそれを取りに行き、その間に利用者さんが転倒したり、溺れていたりという事が多い。
- 冬場はヒートショックにも気を付けなければいけない
- 入浴介助中に利用者さんを一人きりにし、その場を離れるのは絶対ダメ
いかがだったでしょうか。
最初にも言いましたが事故を100%防ぐことは不可能に近いです。
ですが、介護員の努力によって100%に近づけることは出来ます。
始めのうちは事故を起こしてしまうとパニックになってしまうかもしれませんがそれもまた経験だと思って、次に生かすようにしましょう。