「特養と老健って、どっちが働きやすいの?」
「特養や老健の仕事内容の違いは?」
「どんな人が向いているの?」
今回はそんな疑問をお持ちの方に向けて、混同されやすい特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違いやそれぞれの特徴、向き不向き、働きやすさなどについてまとめてみました。
特養と老健の違い・それぞれの特徴や向いている人
特養と老健は、よく「同じようなことをしている施設」と勘違いされることが多いです。
実際、介護の仕事を経験している人でさえ勘違いしていることがあるのですが、特養と老健は一体どんな施設なんでしょうか?
特別養護老人ホームは利用者としっかり関係を築きたい人向け
まずは特別養護老人ホーム(特養)から解説していきたいと思います。
介護施設に勤めたことが無い人が介護施設を思い浮かべるとき一番最初に頭に浮かぶイメージがこの特養だと思います。
大部屋で多数の利用者が過ごしていてベットの間を一枚のカーテンで仕切っている風景を何となく想像できませんか?
学生の頃に職場体験などで行ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
特別養護老人ホームは以前であれば要介護度を持っていれば入所できたのですが(要支援は入所できません)2015年の改正からは要介護度3以上の人しか入所できない施設になりました。
したがって施設内の平均介護度は高くなりますので、その分仕事の内容もハードになりやすいです。
従来型特養とユニット型特養
「大部屋で多数の利用者が過ごしていてベットの間を一枚のカーテンで仕切っている」ような特養は、”従来型特養”と呼ばれています。
スタッフの巡回がしやすいとか利用者どうしが交流しやすいなどのメリットがある反面、カーテン一枚の仕切りではプライバシーが守られているとは決して言えず、インフルエンザや胃腸炎、ノロウイルスなどの感染症が発生した場合は広がりやすいというデメリットもありました。
そこで、誕生したのがユニット型特養です。
ユニット型特養とは従来型特養とちがって全ての部屋が個室でプライバシーが守られており、一人で過ごしたい時は部屋で過ごし、他の人とお話をしたい時にはホールにくるなど、利用者の意思を尊重できる形になっています。
個室で見ることによって感染症のリスクは減りますが、個室に入って利用者の対応をしていると他の利用者に対しての見守りが手薄になってしまうので、介護員の人数を多く配置する必要があります。
そして、従来型よりもユニット型のほうが単位数が高いので、利用料も当然高くなります。
そのため、低所得の家庭は入所を希望していても生活が成り立たなくなるなどの理由から入所を断念する場合もあります。
特別養護老人ホームは終の棲家と言われていて、長期入所、つまり終身利用(亡くなるまで)する方が多いので、必然的に同じ利用者と接する期間が長くなります。
私が以前勤めていたショートステイのように、「やっと対応に慣れてきたのに~、もう帰っちゃうの~」ということはほとんどありません。
なので、利用者と長く、より密な関係を築いてケアを行いたいと思うのなら特養が良いでしょう。
介護老人保健施設(老健)なら医療ケアやリハビリが学べる!
介護老人保健施設(老健)とは、様々な病気などから医療ケアやリハビリが必要な必要となった要介護者が入所できる介護施設です。
特養とは役割が異なり、在宅復帰を目的としたリハビリが中心となります。
病院と自宅のちょうど中間にある位置づけで、入所期間も比較的短く、ほとんどの場合、3か月~1年くらいです。
ですので、特養のようにターミナルケア(終末医療)をする施設はあまりありません。
(今後様々なニーズに答えるため増えていく可能性はあります)
入所の条件も特養とは違っていて、65歳以上で要介護1以上の認定を受けていることとされています。
特養と比べると比較的要介護度の低い利用者が多いし、自分のことは自分でやるという利用者も多いので、介護員の身体的な負担はやや軽減されます。
ただし、自分の意思がしっかりした利用者が多いので、利用者に対する接遇面は特に大事になってきます。
共に過ごす期間は特養と比べて短いので密な関係を築くのは大変ですが、その分リハビリをして家に帰れる喜びを利用者と共に喜びあえるという点に仕事の楽しみを見出せるかもしれません。
ですが、介護員の視点から見た場合、老健は医療ケアやリハビリがメインとなっているため、看護師やPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)よりも立場が低く軽視される傾向があると感じている人も多く、チームワークがうまく取れないといった話も聞こえてきます。
そんな話を聞くたびに私は思うのですが、そこの関係性を円滑にすることによって医療ケアやリハビリについても多くのことを学べるのにもったいないなぁって思います。
実際よくある話なんですけど、「看護師のほうが偉いのよ!」とか「介護員が主役よ!」とか本当にどうでもいい意地の張り合いだと思います。。。
それと、利用者の入所期間が短い所がショートステイと共通しているのですが、色んな利用者を見て、実際に携わることにより様々な病気や障害に対しての対応力も養われていくというメリットもあります。
特養と老健の仕事は?どちらが働きやすい?
比べてみると特養と老健は全然違うことがわかっていただけたのではないでしょうか。
極端に言えば特養は人生の最後を迎える場所。
老健は家に帰るために医療ケアやリハビリなどをする場所となります。
同じ利用者と長く生活して密な関係を築くケアがしたいのか、利用者の入れ替わりはあるがリハビリの努力が報われ家に帰れる喜びを共に分かち合い、医療ケアにも強くなるか。
どちらにもメリット・デメリットはありますし、目的次第で働きやすいという感じ方は人それぞれ変わってくると思います。
なので、自分はどんな介護がしたいのかというのを、違う施設に転職する前や、これから介護の仕事をしたいと思っているのならしっかりと考える必要があります。
しっかりとしたイメージを持って施設を選ぶことによって「こんなはずじゃなかったのに。。。」という思いをする可能性はグッと下がると思いますし、何よりも仕事にやりがいを感じることができるかと思います。
特養と老健の特徴・それぞれの仕事内容や働くメリットまとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)の違いやそれぞれの特徴、向き不向き、働きやすさなどについてご紹介しました。
では最後にここまでのおさらいとして要点をまとめていきたいと思います。
- 特別養護老人ホームは以前であれば要介護度を持っていれば入所できたが(要支援は入所できません)2015年の改正からは要介護度3以上の人しか入所できない施設になった
- 特別養護老人ホームは施設内の平均介護度は高くなるので、その分仕事の内容もハードになりやすい
- 特別養護老人ホームは終の棲家と言われていて、長期入所、つまり終身利用(亡くなるまで)する方が多いので、必然的に同じ利用者と接する期間が長くなる
- 利用者と長く、より密な関係を築いてケアを行いたいと思うのなら特養が向いている
- 介護老人保健施設(老健)とは、様々な病気などから医療ケアやリハビリが必要な必要となった要介護者が入所できる介護施設です、在宅に復帰するためのリハビリが中心で病院と自宅のちょうど中間にある位置づけで入所期間も短く大体3か月~1年くらい
- 老健は特養と比べると比較的要介護度の低い利用者が多いし、在宅復帰を目的としているため、自分のことは自分でやるという利用者も多くて、介護員の身体的な負担はやや軽減されるが、自分の意思がしっかりした利用者が多いので利用者に対する接遇面は重要
- 老健は入所期間は短いが利用者がリハビリをして家に帰れる喜びを利用者とともに喜びあえるというところに仕事の楽しみを見出せる
- 老健は看護師やPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)と連携が上手く取れれば医療ケアやリハビリについても多くのことを学べる
- 特養と老健はどちらにもメリット・デメリットはあり、目的次第で働きやすいという感じ方は人それぞれ異なる
現在、介護の仕事についているけど転職を考えている、もしくはこれから介護の仕事につきたいと思っている人は、どんな施設に勤めたいのかということをできるだけ明確にイメージしておくことをおすすめします。
介護の仕事をしたいと思っている人は、これから始まる新たな生活に対しての希望や不安があるでしょうし、違う施設に転職しようかと思っている人は更なるスキルアップを目指していたり、今勤めている施設の現状に不満があるのかもしれません。
介護と一口にいっても、音楽のジャンルと一緒で現在は介護のジャンル(業務形態)も細分化され施設ごとに特色があります。
「なんとな~くで面接受けて合格したけど、なんか本当にやりたかった介護とイメージと違う。。。」とならないように、まずは自分はどんな介護をしたいのか、介護職としてどのようにキャリアを積んでいきたいのかという点をぜひ一度しっかりと考えてみるとよいかと思います。