介護職の働く場所

グループホームの介護職の仕事内容・認知症への理解は必須?

「グループホームで働きたいけど、介護職の仕事内容は?」

「グループホームで働くためには、どのくらい認知症について理解しておけばいいの?」

今回はそんな疑問をお持ちの方に向けて、認知症の利用者に特化した「グループホーム」の仕事内容や注意点、働きやすいグループホームの見分け方などをご紹介します。

「グループホーム」での介護職の仕事内容

グループホームと他の介護施設との違い

グループホームは、その他の介護施設とは雰囲気が全く違います。

一般的に介護の仕事の大部分は、身体に関する介護が多く、仕事内容も利用者の体に直接触れながら行う「介助」が大部分を占めます。

しかし、グループホームは違います。

特別養護老人ホームなど、身体介助を必要とする利用者がたくさんいる雰囲気はなく、どちらかというと「この人は介護が必要なのか」と思うくらい、自立している人が多い印象を受けるのです。

これは、グループホームが担う役割が影響しています。

グループホームも介護施設ではあるのですが、利用者を認知症の人に特化しているのです。

グループホームには、認知症と診断され、要支援2もしくは要介護の認定を受けた人が入居しています。

グループホームは、通所ではなく入居する場所です。

そのため、365日24時間を利用者はグループホームで過ごすことになります。

そのため、グループホームに転職するならば、夜勤や早番、遅番の交代制で勤務することになります。

グループホームでの仕事内容は、身体介助よりも「見守り」と「対処」が多いかもしれません。

なぜならば、グループホームに入居している人は、体は不自由なく動かせる人もたくさんいるのです。

そして、利用者の目的は「自立」となっています。

不自由ない生活を送る手助けをするのではなく、自立を促す手助けが仕事内容となります。

グループホームでは、利用者自身が家事を行います。

掃除も料理も買い物もするのです。

しかし、すべてを利用者に任せることはできません。

認知症は、一見「何も問題ない」ように見えても、突然状況が変わることがあるのです。

状況が変わったときに、対処できるように見守ることが大切になります。

グループホームは人員的に余裕がある?

グループホームに入居している人たちは「ユニット」というグループを作って生活をしています。

1ユニットは5人から9人と決まっていて、利用者3人に1人の介護職員がつくようになっている施設が多いでしょう。

利用者3人に対して介護職員1人という配置は、その他の介護施設と比較すれば、人員に余裕があるように感じます。

しかし、認知症の人の中には、急に暴力的になったり攻撃的になったりすることも多く、入居者同士のトラブルも多いのです。

少人数で構成されている施設ですが、常に気をはって状況の変化に気がつくことが求められます。

グループホームの介護職員の仕事内容は「見守り」と「自立支援」と「身体介護を必要とする場合の介護」になります。

「グループホーム」で働くときの注意点

グループホームで働くときに大切なことは、手を出しすぎないことです。

グループホームの利用者は、料理も掃除も自分でできるならば、自分でやります。

包丁を持って材料を切り、味付けもするのです。

しかし、認知症であるため「切ったあとに煮て味を付ける」という手順を踏めず、いくつかの手順が飛んでしまうこともあります。

介護職員は、料理をしている状況を見守りながら、それとなく手順を伝える必要があるのです。

ここで大切なことは「それとなく伝えること」になります。

「切ったら、お湯の中に入れてください。中まで火が通ったら醤油を大さじ3ですよ」と指示をしてしまってはいけません。

グループホームの目的は「自立支援」です。

できるだけ自分の頭で考えてもらうように促します。

また、認知症の人の中には自分を認知症と認めたくない人も多いのです。

自尊心を傷つけることなく、その人のプライドを守りながら介護する気持ちが大切なのではないでしょうか。

また、認知症は日々変化します。

入所したばかりのときには、体も自由に動かすことができ、介護職員の顔も覚えて親密な関係を築くことができていたとしても、ある日突然「あなた、誰?」と言われることも多いのです。

そのときにいらだったり、ショックを受けて悲しんだりするのではなく、丸ごと受け入れて対処することが介護職員には求められます。

そのためには認知症についての正しい知識を習得しておくことがポイントです。

認知症を詳しく知っていれば「想定外」は減り、冷静な対処をすることができるようになります。

グループホームの目的は認知症を治療することではありません。

利用者同士が協力しながら生活を共にすることで、認知症の進行を穏やかにしていくことが目的です。

一般的な介護施設では、介護職員対利用者との関係だけが注目されることが多いのですが、グループホームでは、利用者対利用者との関係の方が密になっている傾向があります。

利用者同士の交流が盛んであることは、社会性ができるため認知症にいい影響を与えるのかもしれません。

しかし一方で、交流が盛んになればトラブルも発生します。

すべての利用者が居心地よく感じられるような施設環境を整えることも大切な仕事内容の一つです。

働きやすい「グループホーム」の見抜き方

一言に「グループホーム」といっても、施設ごとに特徴があります。

グループホームは医療目的ではないため、医療が必要になったら別の施設へ移動するところもありますが、一方で「終身」いられるグループホームもあるのです。

医療が必要になったら他の施設に移動するグループホームには、身体介護が必要な利用者は少なく、自立支援に重点をおくことができます。

一方、終身いられるグループホームには、身体介護を必要とする利用者もたくさんいます。

肉体労働が多い職場かもしれませんが、同じ利用者を最後までお世話することができるのです。

ただ、グループホームに看護師の配置は義務付けられていません。

夜勤は、介護職員1人で行うことも多いため、急変したときの対処方法についてはしっかりと確認しておくことが大切です。

また、終身いられるグループホームに転職する場合は、施設が持っている設備に注意しましょう。

終身でいられるグループホームの利用者の中には、寝たきりになっている人もいます。

寝たきりの人を移動したり、入浴介助したりすることは、大変な仕事です。

特別養護老人ホームなど、身体的な介護の必要度が高い人が多く入居している施設には、入浴設備が充実しているため、入浴介助をする介護職員の負担は軽減されることもあります。

しかしグループホームには、大掛かりな入浴設備が取り入れられていないことが多いのです。

要介護4、5のほぼ全介助の人ばかりというケースでは、設備が整っていないとかなり大変です。

介護しやすい設備が整っている施設かどうか、面接のときにチェックしておいたほうがいいでしょう。

認知症の人と接する介護職員は、ときには理不尽なことを言われたり、暴力にあったりすることがあります。

転職するときには、職員のケアについても聞いておくといいでしょう。

グループホームで働くことの魅力

介護の仕事が辛いと言われる理由に「改善する見込みがないから」という人がいます。

確かに、子育ても介護と同じように大変なことですが、子育ては「成長」という結果が待っています。

しかし介護には、改善や成長という結果はないのかもしれません。

とくに利用者をたくさん受け入れている施設では、介護職員の人数がたりないため、介護の目的を考える余裕もなく、作業のように介護が行われていることもあるのかもしれません。

しかし、介護には子育てのように「成長」という目的ではありませんが、今までの長い人生の終盤を預かるという大きな使命があるのではないでしょうか。

介護する職員にとっては、たくさんいる利用者の中に一人かもしれませんが、利用者にとっては最初で最後の「時」であり、人生のラストを過ごす場所なのです。

グループホームには、その他の介護施設では味わうことができない「改善」を味わうことができます。

認知症になった人は、同じスピードで進行するということはありません。

認知症になったとしても、グループホームで刺激を受けることで進行を遅らせたり、止めたりすることもできるのです。

グループホームに入居してくる人の中には、一人暮らしをしていた人も多くいます。

認知症にとって、刺激のない一人暮らしは大敵です。

グループホームに入居したことで、共同作業をする友人ができたり、自分よりも手助けを必要としている人に手を貸したりするうちに、自分自身の認知症が軽くなったという人もたくさんいます。

「介護は成長がない」という言葉は、グループホームには通用しないのではないでしょうか。

そして、利用者の変化や改善を直接目にすることができるところが、グループホームの大きな魅力でしょう。

グループホームで働く介護職員は、利用者の家族のように接することが大切です。

認知症の人は、自分の家族にも言えない悩みを抱えていることもあります。

心をオープンにして「話しやすい雰囲気」「話しやすい職員」でいることもグループホームでは大切なことではないでしょうか。

「グループホーム」での介護職の仕事内容・働きやすい職場の見分け方まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は認知症の利用者に特化した「グループホーム」の仕事内容や注意点、働きやすいグループホームの見分け方などをご紹介しました。

最近、一部のグループホームは、特養待ちしている高齢者の待機場所として使われていて、重症者が集まっているケースもあるようです。

グループホームに転職を考えている方は、面接の際に、利用者の要介護度や設備などについても、しっかり確認するようにしましょう。

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