「ホームヘルパーに興味があるけど、未経験者でもできる?」
「ホームヘルパーの仕事って具体的にどんなことがあるの?」
今回はそんな疑問をお持ちの方に向けて、訪問介護(ホームヘルパー)の仕事内容や注意点、給料の実態などをご紹介します。
ホームヘルパーの仕事の実態は?
与えられた時間内にやるべき仕事をする必要がある
介護の仕事に転職する人の中には「チームや人間関係にとらわれず一人で自分のペースで仕事をしたい」という理由からホームへルパーの道を選ぶ人がいます。
ホームへルパーは、利用者の自宅を一人で訪問し、やるべき仕事をこなすため施設で働くよりは人間関係に悩まされることは少ないかもしれません。
しかし、ホームヘルパーはホームヘルパーなりの「悩み」があります。
ホームヘルパーは、与えられた時間内にやるべき仕事をする必要があります。
施設で働いている人は、切りのいいところまで仕事をすることができますが、ホームヘルパーは分刻みで訪問先が決まっているため、例え仕事が中途半端な状態であっても、終了時間になったら仕事を切り上げて次の利用者宅に向かわなければならないのです。
ホームヘルパーに与えられる時間は、利用者の介護レベルによって異なります。
介護レベルが高ければ、与えられる時間も長くなりますが、介護レベルが低ければ30分以内に家事を終えなければならないこともあるのです。
介護レベルは、介護認定によって決められます。
介護認定は、利用者の状態を専門家が見たり、医師の診断をもとにして判定されるのですが、人によっては認定されるときだけ頑張ってしまい、実際の介護レベルよりも低く認定されてしまう人も少なくないのです。
ホームヘルパーとして利用者と関わる中で「この人はもっと介護レベルが高いはずだ」と思ったとしても、ホームヘルパーには認定に意見する権限はありません。
与えられた時間の中で、精一杯の仕事をするしかないのです。
ホームヘルパーは、利用者の介護レベルによって「やっていい仕事内容」が決まっているため、それ以上の介護まで手出しはできません。
ホームヘルパーと施設で働く介護職との大きな違いは「やりたい介護を好きなだけできない」ことかもしれません。
ホームヘルパーとして働く人は、常に時計を見ながら仕事をする必要があるのです。
「やりくり」も大切な仕事
また、「やりくり」も必要です。
ホームヘルパーの仕事の中には、買い物もあります。
高級な食材をたくさん使って、栄養のある食事を提供したいと思っても、与えられた予算の中から「やりくり」しなければならないのです。
利用者の中には、本当に少ない生活費で生活をしている人もたくさんいます。
「1か月の食費は1万円」と言われれば、ホームヘルパーは「やりくり」をして予算内におさめる努力をしなければならないのです。
「よかれと思って」が足を引っ張ることもある
ホームヘルパーは、利用者の自宅に入るため利用者の生活水準や家族の人柄が手に取るようにわかります。
仕事に一生懸命なホームヘルパーほど、利用者のプラスになる情報を伝えたいと思うものです。
しかし「よかれと思って」言ったことや、やったことが自分の足を引っ張ってしまうこともあります。
例えば、生活費が極端に足りていない利用者に対して「生活保護を受給したらいい」とアドバイスしたホームヘルパーが、利用者の家族から文句を言われることもあるのです。
ホームヘルパーの立場で考えれば、生活保護を受給することで少しでも生活水準があがると考えたのでしょう。
しかし、利用者が家族に生活保護について相談したところ、家族は受給に反対だったのです。
また、利用者の中には認知症が進んでいる人もいます。
食中毒を心配して、ホームヘルパーが食事の残りをこまめに処分していたところ「うちのホームヘルパーは、食事をどんどん捨てていく」と施設側にクレームを言われることもあるのです。
「良かれと思って」したことが、利用者や家族には誤解されることもあります。
ホームヘルパーとして長く働くコツは、利用者と家族とのコミュニケーションをしっかりと取り「誤解」を防ぐことではないでしょうか。
ホームヘルパーの時給の盲点は?
ホームヘルパーは、時給で働くことが多いようです。
1件当たり30分から1時間以内で1日に数件を掛け持ちして働きます。
ホームヘルパーとして1日3件を掛け持ちし、それぞれ時給1000円で1時間働くとすれば、1日3000円になります。
「3時間ならば午前中だけですむから、3000円ならホームヘルパーはいい仕事だ」と思う人もいるかもしれません。
しかし、ホームヘルパーの時給には「移動時間」「待機時間」は含まれていません。
つまり、1件目の仕事が終わって、1時間後から2件目の仕事が始まるとすれば、それだけで午前中は終わってしまうのです。
3件目は午後から始めるとすれば、結局約丸一日仕事に費やすことになります。
1日拘束されて3000円は、あまりにも少ないのではないでしょうか。
ホームヘルパーとして働くならば、時給だけで仕事を探すのではなく、移動時間や時給に含まれれる範囲を確認しておくようにしましょう。
ホームヘルパーの仕事は家事の延長線上にあるようにも見えるため、主婦から介護職に転職する人に人気があります。
しかし介護の需要が高まってきたため、以前は看護師しか認められなかった「たんの吸引」などの医療行為も講習を受けることによってホームヘルパーもできるようになってきました。
「仕事の範囲が広がった」と喜ぶ人もいますが、「医療行為までするのは責任が大きすぎる」と感じる人もたくさんいます。
ホームヘルパーは立派な介護職であり、施設で働くことよりも一人の力量が重要になってくるのです。