介護の現場で働くと、介護日誌を書かなければいけません。
その介護日誌を書く際に専門用語をある程度知っていないと、なんとなく締まりがなく稚拙な文章になってしまいます。
介護の仕事を始めたばかりの人や、これから介護の仕事を始めようと思っている人には、専門用語って何となく敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、実際はそんなことはなく、場数を踏めば自然と覚えていくものなのです。
あらかじめ頭の中に知識として入っていれば、先輩たちの会話にすんなりと入っていけますし、いざという時にも役立ちます。
これから介護の現場で良いスタートダッシュを切れるために、今回は介護員がよく使う専門用語その2と題して、実際に現場で介護員がよく使う専門用語を解説していきたいと思います。
QOL(キューオーエル)
QOL(キューオーエル)とはQuality of life(クオリティ オブ ライフ)の略称で、意味はそのまんま「生活の質」とか「生命の質」と言う意味です。
つまり、利用者さんが人間らしく、満足して生活しているのか、自分のやりたいことに積極的に取り組むことができて幸福感や生きがいを持ち、人間らしく生きていくことができているのかと言う考えを表した言葉です。
わかりやすく極端な例を挙げると、利用者さんがやりたいことに対して介護員があれもダメ、これもダメ、と頭ごなしに言っているようではQOLが実現できているとは言えません。
この場合、この利用者さんは、どうすれば、どのようになればやりたいことを実現できるのかと言う所をしっかりと利用者さんの気持ちに寄り添って介護員は考えてあげないといけません。
例えば、Aさんと言う利用者さんが他の利用者さんと一緒に施設にある畑で種や苗を植えたり収穫したいと話しています。
ですが、Aさんは麻痺があるわけではないが足の筋力が弱っていて今の状態ではとても畑仕事をできる状況ではありません。
そこで「畑仕事は無理です」と言うのは簡単ですが、AさんにとってQOL(生活の質)は下がってしまうことになります。
そこでAさんがどのようになれば畑仕事ができるようになるのかと言うのを考えなければいけません。
では、Aさんはどのようになれば他の利用者さんと一緒に畑仕事ができるようになるでしょうか?
答えは一つではありませんが、まずは、しゃがめるようになることです。
畑仕事はしっかりと自分の足でしゃがむことができなければ種や苗を植えることも収穫することもできませんよね?
その答えがわかったら今度は施設全体を巻き込んで、看護師や他の介護員、管理者、相談員と話し合い、Aさんが畑仕事ができるようになるために、しゃがめるようになるためにはどうしたら良いのか考えていくことが、AさんのQOLは実現に向けて動くと言う事になります。
介護の現場では、社会福祉の理念として、前回の記事で紹介したADL(エーディーエル)とQOLは非常に重要視されています。
間違っても「できないからダメ」なんて頭ごなしに言ってしまわないようにしましょう。
感情失禁
私が介護の仕事を始めて間もない頃、日々の申し送りや介護日誌などで「感情失禁」と言う言葉が良く聞かれたり、書かれたりしていました。
その時、私は「あ~なるほど~」と誰にも意味を聞かず、知ったかぶりをして、後に恥ずかしい思いをすることになります。
私が勝手に考えた感情失禁とは、イライラして「キィィィィ!」となったり、悲しくて泣いてしまったりした時に尿を漏らしてしまう事を感情失禁だと勝手に思い込んでいたんです。
ある日、どのような流れでそうなったかまでは忘れてしまいましたが、感情失禁についての話になった時に、「感情失禁って、キィィィィ!ってなった時に勢い余って尿が漏れちゃうことですよね!」と言ったら、先輩たちが大爆笑。。。
(今思い返しても恥ずかしい・・・)
感情失禁の正しい意味は、些細なことでも泣いてしまったり、激しく怒ったり、笑いが止まらなくなったり、感情が上手くコントロールできない事を感情失禁と言います。
なんで、感情が上手くコントロールできない事に”失禁”という言葉を使うのか理解に苦しみますが、emotional incontinence(エモーショナル インコンチネンス)と言う英語を直訳しただけなんですね。
emotional=感情、incontinence=失禁と言うわけです。
最初に日本語に訳した人も、もう少し紛らわしくない訳し方はなかったものかといまだに思います。
(勘違いしていた私が悪いのですが・・・)
体位の種類
前回の記事で紹介した褥瘡(じょくそう)を予防するために、体位交換は必須となってきますが、体位によっても呼び方が違ってきます。
仰臥位(ぎょうがい)
仰向けで寝ている状態の事です。
右側臥位(みぎそくがい)
右側を下にして寝ている状態の事です。
左側臥位(ひだりそくがい)
左側を下にして寝ている状態の事です。
端座位(たんざい)
足をおろして座っている姿勢。(イスやベットに座っている姿勢の事です)
端座位は褥瘡予防の体位交換ですることはまずありませんが、まずこの4つを覚えておけば大丈夫でしょう。
ヒヤリハット
介護の現場では、大きな事故には至らなかったが(転倒や転落、誤薬、誤飲など)そうなりそうだった、「ヒヤッとした」「ハッとした」事をヒヤリハットと言います。
これは介護の現場だけでなく、看護や保育の現場でもヒヤリハットはあります。
ほとんどの介護施設ではヒヤリハット報告書と言う物があって、先ほども言ったように事故には至らなかったけど、事故に繋がりそうだったよと言うのを報告書に書いておくことによって、他の職員も気を付けることができると言う物なのですが、これを書きたがらない介護員がとにかく多い!
そのような介護員は「事故になんなかったからいいじゃん!」と軽く考えているんですね。
その報告書を書いておくことによって他の職員と情報を共有して事故を起こさないように気を付ける事ができるのに、それをしなかったが為に事故が起きてしまう事だった有るんです。
なので、あなたは些細な事でも報告し、100%は無理かもしれませんが、できるだけ事故を起こさないようにヒヤリハットを隠ぺいしたりせず、他の介護員と情報を共有する介護員になりましょう。
介護スタッフが現場でよく使う専門用語Part2まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、介護の現場で介護員がよく使う専門用語第2弾をご紹介しました。
では最後におさらいもかねてここまでの要点をまとめていきたいと思います。
- QOL(キューオーエル)とはQuality of life(クオリティ オブ ライフ)の略称で、意味は「生活の質」とか「生命の質」と言う意味
- QOLは利用者さんが人間らしく、満足して生活しているのか、自分のやりたいことに積極的に取り組むことができ、幸福感や生きがいを持ち、人間らしく生きていくことができているのかと言う考えを表した言葉
- QOLの実現に向けて、利用者さんがどうすれば、どのようになればやりたいことを実現できるのかと言う所をしっかりと利用者さんの気持ちに寄り添って介護員は考えてあげないといけない
- 感情失禁の意味は、些細なことでも泣いてしまったり、激しく怒ったり、笑いが止まらなくなったり、感情が上手くコントロールできない事を感情失禁と言う
- 体位の種類
1、仰臥位(ぎょうがい):仰向けで寝ている状態の事
2、右側臥位(みぎそくがい):右側を下にして寝ている状態の事
3、左側臥位(ひだりそくがい):左側を下にして寝ている状態の事
4、端座位(たんざい):足をおろして座っている姿勢(イスやベットに座っている姿勢の事) - 介護の現場では、大きな事故には至らなかったが(転倒や転落、誤薬、誤飲など)そうなりそうだった、「ヒヤッとした」「ハッとした」事をヒヤリハットと言う
- ほとんどの介護施設ではヒヤリハット報告書と言う物があって、先ほども言ったように事故には至らなかったけど、事故に繋がりそうだったよと言うのを報告書に書いておくことによって、他の職員も気を付けることができる
いかがだったでしょうか、介護にはまだまだ専門用語が沢山あります。
中々最初は覚えるのが大変かもしれませんが、じっくりと勉強して覚えていきましょう。 「未経験で介護の仕事を始めたけど、申し送りで使われる専門用語の意味がわからない」 「ADL(エーディーエル)のレベルが下がるって、どういうこと?」 「トランス介助って何??」 今回はそんな疑問をお持ち ... 続きを見る
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