介護施設で働く職員が一番遭遇する確率が高く、かつ手を焼いているのが認知症の方ではないでしょうか。
認知症の方の気持ちを理解しておかないと、介護の仕事が辛く感じてしまうことがあるかもしれません。
そこで、今回は認知症の利用者さんとの間に起こりやすいトラブルやその具体的な対策方法についてご紹介します。
認知症の人が介護施設に入ると実際に起きやすいトラブルの例
例えば毎回のようにオムツいじりをして尿汚染や便汚染してしまう利用者さんに対して、「なんでこんな事するの!汚いでしょ!」などと言うだけで、何も対策をしないのはNGです。
(実際にそんな対応をしている施設もあるかもしれません)
この場合、オムツをしていることで蒸れたり、オムツの中に尿や便がいつまでもある事に不快感を感じてオムツいじりをしてしまう人がほとんどですが、中には違う理由の人もいるかもしれません。
なので、お話ができるのであれば、なぜそのような事をするのか冷静に話を聞いて解決策を導き出すことが大切です。
話ができない場合でも、オムツいじりをされる前にオムツ交換をするか、またはオムツ交換の回数を増やすことで不快感をできるだけ減らすなど、しっかり介護員同士で話し合って対策をしなければいけません。
介護施設では大から小まで毎日のように何かしらの問題や課題が出てきます。
認知症の人の気持ちを理解できるようになれば、利用者さんへの接し方、それらの問題や課題に対しての取り組み方が変わり、介護士としてのレベルが上がります。
利用者さんにとっても「自分の気持ちを理解してくれる人がいる」と言う安心感を与えることにつながります。
認知症の人の気持ちを理解した上での対策の例
こうしたトラブルは、認知症の人の気持ちを理解できていないと、介護側のしてあげたい事と、利用者さんのして欲しい事との間にズレが生じてくることから発生します。
では、パターン別に認知症の人の気持ちを理解した上での対策の例を紹介します。
言葉が上手く出てこない利用者さんへの対応
・ イエスかノーで答えられるように質問する
・ ゆっくり話を聞く時間を作る
・ ゆっくり話す
・ 伝わるまで何度も聞く
・ メモに書いてもらう(筆談)
物盗られ妄想のある利用者さんへの対応
・ 一緒に探してあげる(最終的に見つけるのは本人でないと疑われてしまう可能性があるので注意)
・ 疑われていない第三者が話を聞いてあげる
・ 疑われた場合は否定せず謝る
(かなりストレスがかかる事かもしれませんが、否定してしまうとエスカレートする可能性大)
トイレ以外で排泄する利用者さんへの対応
・ トイレの場所がわからない可能性がある為、トイレの場所に張り紙をしておく
・ 居室にポータブルトイレを用意する
・ 汚す可能性の高い所にはあらかじめラバーシーツ(水の通らないシーツ)を敷いておく
暴力行為のある利用者さんへの対応
・ 普段から褒めたり優しい声掛けを心がける
・ 興奮状態になったら他の介護員と交代して話を聞いてもらう
・ どうしても興奮状態が収まらない場合は、気持ちの落ち着く薬を処方してもらう
昼夜逆転の利用者さんへの対応
・ 日中に会話をしたり体を動かしたり適度な刺激を与える
・ 夜間は刺激を少なくし、落ち着いた雰囲気を作る
・ 体に痒みはないか、居室の明かりは明るすぎないか等をチェックする
認知症の人の気持ちを理解する事で利用者さんとの向き合い方が変わる
認知症になってしまうと最後にはほとんどの人が自分や家族のこともわからず、何もわからなくなってしまいます。
ですが、認知症になってすぐにそのような状態になるわけではなく、自分で何かがおかしいと思い始めてから何年にも渡って不安や恐怖と戦っているのです。
そんな人に対してあなたは冷たい態度をとったり、罵声を浴びせたりなどの虐待をしようと思いますか?
認知症を発症しても一人の人間であることに全く変わりはありません。
記憶は失っていたとしても感情はあるんです。
だからこそ介護士は利用者の気持ちにより一層寄り添った介護をしなければいけません。
何事にもまずは利用者さんの話をよく聞いて、意見を尊重し、利用者さんが前向きな気持ちになって生活できるように心がけましょう。
それから何か問題行動があった際にも、なぜそうしたのかまずは話をじっくり聞いて、今後そうならないためにも利用者さんの気持ちを理解した上で施設全体で問題解決に向けて動かなければいけません。
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認知症の人が介護施設に入ると実際に起きやすいトラブルと具体的な対策方法まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は認知症の利用者さんとの間に起こりやすいトラブルやその具体的な対策方法についてご紹介しました。
利用者さんの気持ちを理解することができれば、利用者さんも安心できますし、介護士のこちら側としてもトラブルが減ることで助かります。
問題があった時には利用者さんの話をじっくり聞いたり、他の介護士と一緒に話し合ったりして解決方法を模索してみて下さいね。